戸籍

戸籍の役割

戸籍制度は、日本国民の国籍とその親族的身分関係(夫婦、親子、兄弟姉妹等)を戸籍簿に登録し、これを公証する制度です。また、婚姻、離婚、縁組、離縁など人の身分関係の形成に関与する制度でもあります。

従って、戸籍簿により人の出生から死亡までの一生の親族的な身分関係の変遷を確認することが出来ます。相続においては、法的に誰が相続人なのかを確定することが極めて重要になりますので、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍の変遷をたどることによって相続人の有無、誰が相続人になるのかを確認することが出来ます。

相続手続きは、この被相続人の一連の戸籍を取得することから始まるといっても良いでしょう。

戸籍の種類

戸籍には、現在戸籍・除籍・改製原戸籍(はらこ)の3つの種類があります。

現在戸籍は、現在使用され、在籍している者が存在する戸籍です。筆頭者の本籍地のある市町村に保管されています。

なお、筆頭者というのは、戸籍の一番はじめに記載されている方をいいます。 たとえ既に亡くなっている方でも、生前に筆頭者であった場合は、そのまま筆頭者になっています。

 日本人同士の夫婦の場合、婚姻により氏を改めなかった人が、筆頭者になっています。 未婚の人の場合は、父または母、養父または養母、ご本人自身が筆頭者である場合が多いです

除籍とは、ある戸籍に在籍している人が、婚姻や死亡等によって全員いなくなった戸籍のことをいいます。また、ある人が婚姻や死亡等によって従前戸籍から除かれる場合も除籍といいます。

改製原戸籍(俗にはらこ)は、戸籍の様式が法令等によって改められた場合、前の戸籍を新しい様式に改めるための改製が行われます。その改製前の戸籍のことを改製原戸籍といいます。現在までに戸籍の改製が、戦前に4回・戦後に2回行われています。

改製の根拠と年月日がすべて戸籍に記載されていますので、古い戸籍(改製原戸籍)の消除日と新しく作られた戸籍の日付が一致しますので、その連続性が確認できます。一致しない場合は、その間に何らかの戸籍の存在が推定できますので、それを探す必要があります。

戸籍の集め方・取得方法

亡くなった人の戸籍を集める際、亡くなった人の戸籍又は除籍を取得すると、その戸籍等に従前戸籍の記載があります。その従前戸籍を取得するとさらにその前の従前戸籍が所在した本籍の記載があるということで順次出生時まで遡ることが出来ます。

これは転籍と言って本籍地を住所変更などと合わせて移動させてきた場合ですが、このケースでは、本籍地が所在したことがあるすべての市区町村役場へ請求する必要があります。

勿論生まれてから一度も出生時の本籍地から離れたことがない人もいます。婚姻して親の戸籍から離れても親と同じ所在番地に新しい戸籍を作ることが出来ます。この場合は、すべての戸籍等を同じ市区町村役場で取得することが出来ます。

市区町村役場で戸籍を請求する場合は、直接窓口へ行く場合と郵送で対応できる場合がありますので、遠距離の場合は、区市町村役場へ電話で問い合わせるか、区市町村役場のホームページで確認します。

最近では、請求の方法や交付に必要な手数料等についてインターネットで案内しているのでとても集めやすくなっています。

相続のために戸籍を集めるときは、亡くなった人の出生から死亡まで、戸籍の記録で証明できない空白の期間がないよう漏れなく収集します。もし空白の期間があると、どこかにその期間の戸籍が存在する可能性が大きいです。

戸籍法の改正による戸籍取得方法の簡易化(令和6年3月1日から

上記のように、戸籍の取得には、戸籍等の所在市区町村へ請求する必要がありましたが、令和6年3月1日から住所地の市町村役場から請求し、戸籍を取り寄せ取得することが可能になりました。相続等で戸籍の取得が必要になったら、住所地の役所に問い合わせてみて下さい。

mamoru
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行政書士を開業しています。主に相続関係の相談、書類作成、手続き代行などを業務としています。これから相続を控えている方、相続に関心をお持ちの方などに、経験を踏まえた有益な情報を発信して行きます。

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